2016-09-29から1日間の記事一覧
四 恩讐の段 強い西風を受けて船の速度は鈍く、揺れが激しかった。 千熊丸はじっと東を、堺を見つめている。風の唸り音、艪の漕ぎ音がなぜか一揆の勝ち鬨のように耳に残り、苛立ってしまう。敗軍というのは、こんなにも惨めなものかと思った。この船も周りの…
三 夏菊の段 (飛車が、龍に成ろうとしている) 飯盛山城。木沢長政が再び将棋盤を眺めている。敵陣がなくなり、駒は自陣しか残っていない。自陣からも角が消えていた。 ここまでの流れは、ほぼ長政の構想通りに進んでいる。ただ、飛車たる元長の戦果は想定…