きょう、(小説 三好長慶)

近世のきのう、中世のあした。三好長慶の物語

2016-10-04から1日間の記事一覧

九 天道の段  ――三好宗三 家内の歪みに直面し、三好長慶 土柱にて未来を見据える――

九 天道の段 年の暮れを迎えた深夜、外では深々と雪が降っている。飯盛山城、城主の館の一室で長政は将棋の駒を弄びながら黙考していた。 長慶の胎動が感知できなくなっていた。思いとどまったのか、水の下ではいまも動いているのか。上がってくる情報からは…

八 漂流の段  ――木沢長政 長慶と宗三を惑わし、田中与四郎 武野紹鴎に師事す――

八 漂流の段 天文七年(1538年)の初秋。将軍足利義晴は突如公方役職の人事を行い、天下を驚愕させた。わけても人々の耳目を集めたのは、管領に次ぐ役職である“相伴衆”に越前の朝倉孝景、格は落ちるがやはり栄誉職である“評定衆”に波多野稙通が指名されたこ…