きょう、(小説 三好長慶)

近世のきのう、中世のあした。三好長慶の物語

2016-10-07から1日間の記事一覧

十二 平蜘蛛の段  ――遊佐長教 二心を抱き、松永久秀 長慶に心服す――

十二 平蜘蛛の段 そこには奇怪な美しさがあった。 冬の夜。長慶は長逸と新五郎を供に、平蜘蛛町の視察にやってきた。淀川河口の低地帯に創られたこの町は、遠目からでも異様な輝きを放っている。妓楼から漏れ出す灯りに加えて、町内の小路それぞれに沿って黒…