きょう、(小説 三好長慶)

近世のきのう、中世のあした。三好長慶の物語

2016-10-08から1日間の記事一覧

十三 白無垢の段  ――細川六郎 天文の大飢饉に支持を落とし、三好長慶 波多野と婚姻同盟を結ぶ――

十三 白無垢の段 天文九年(1540年)の夏。 阿波の旅から帰国した田中与四郎は、久しぶりの我が家でゆっくりと身体を休めていた。阿波や船上と違って、柔らかい畳に寝転んで手足をいっぱいに伸ばすことができる。い草の匂いが常より甘く感じられた。 長慶の…