きょう、(小説 三好長慶)

近世のきのう、中世のあした。三好長慶の物語

2016-10-11から1日間の記事一覧

十六 幼子の段  ――三好長慶 嫡子を授かり、遊佐長教 細川氏綱を廃人に仕立て上げる――

十六 幼子の段 腹は順調に大きくなっている。つわりの具合もだいぶんよくなった。太平寺の戦で長慶が大勝し、憂いが減ったことが大きいのだろう。 「約束通り、生きて帰ったぞ」 得意顔でそう言った長慶の頬を、泣きながらつねったりしたものだ。 季節は夏で…