きょう、(小説 三好長慶)

近世のきのう、中世のあした。三好長慶の物語

2016-10-30から1日間の記事一覧

二十七 村雨の段  ――足利義晴 失意のままに悶え死に、三好之虎 阿波藍染を振興す――

二十七 村雨の段 天文十九年(1550年)の初夏になった。 近江は風の国である。穴太(滋賀県大津市)の寺院で臥せっている義晴のところにも、琵琶湖から心地よい風が吹いてくる。この風がなければ、もっと早くに逝っていただろう。 「中尾城(京都府京都市)…