きょう、(小説 三好長慶)

近世のきのう、中世のあした。三好長慶の物語

2016-11-07から1日間の記事一覧

三十五 ひとつの段  ――六角義賢 息子義治に軽んじられ、三好長慶 永禄改元に当たって足利義輝を仲間外れとす――

三十五 ひとつの段 暦の上では秋だが、朽木では早くも雪が積もった。 さく、さくと足音が鳴る。義輝も藤孝も雪国の暮らしに慣れてきており、歩き損ねて転ぶようなことはない。その一方で、前を進む老人は何かがおかしかった。雪を踏む音が聞こえぬ。足跡もほ…