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室町時代の終わりに三好長慶という人物が現れた。
大河ドラマなどに縁はなく、戦国時代の特集本や最強談義や人気投票に呼ばれることもなく、信長の野望では時報のようにイベント退場していくこの男。
一方、近頃では再評価の兆しもあってニッチな歴史ファンを喜ばせているこの男。
その生涯は波乱万丈である。家族の不幸。跋扈する兇徒との対決。主家の克服と天下の簒奪。侵略戦争と頓挫……。
死後“三好”の名は悪玉として扱われるに至る。
果たして彼の実像は。
なりゆき下剋上おじさんに
過ぎないのか。
羊の皮をかぶった董卓か。
“寛容”を得て“幸運”を手放したスッラなのか。
何より彼自身は
満足して死んでいったのか、
絶望して死んでいったのか。
年表を眺めるこちらの人生観を試すかのような……。
私は、彼の一生を文章にしてみようと思った。