きょう、(小説 三好長慶)

近世のきのう、中世のあした。三好長慶の物語

2016-11-03から1日間の記事一覧

三十一 洟垂れの段  ――安宅冬康 兄弟喧嘩を鎮め、三好長逸 播磨七城を抜く――

三十一 洟垂れの段 うら寂しい正月だった。 座に連なるのは僅か三十名。六角や朝倉からの援助があるとはいえ、祝いの膳はいかにも貧相である。例年はそれなりに顔を出していた公家や坊主も、今年は誰一人訪れてこない。それどころか、いずれ帝は長慶を武家の…